初心者のための同人誌作り方講座「同人師。」

3年間同人活動を行った元同人作家が伝えるコピー本、オフ本、ペーパー等の、同人誌の作り方サイトです。

初心者のための同人誌作り方講座「同人師。」

カテゴリー:オフ本を作ろう

21-オフ本を作ろう(商品到着)

さて、本が出来上がったら印刷所から本が送られてきます。
本が到着したら、できあがった本を確認しましょう。
落丁、乱丁、ゆがみ、汚れなどがないかを確認します。
もしそれらがあった場合で、こちらの責任ではない場合は印刷所に問い合わせましょう。
ノンブルのうち間違いや、印刷所がしてはいけないといっていること(トーンの多重貼り、水性ペン使用による薄い原稿によるカスレなど)をして、出来上がりが違う場合は、こちらの責任になりますので、クレームを受け付けてもらえません。
基本的にクレームは話し合いです。
自分がどうしてほしいか、印刷所はどういう対応ができるかで解決策を出します。
クレームを受け付けてくれないところもありますので、入稿前に確認しておきましょう。

20-オフ本を作ろう(発送)

原稿ができあがって、発注書を書いたら印刷所に発送します。
まず原稿ははじめから順番に並べます。
雨に濡れないようにビニールなどに原稿用紙を入れ、発注書も忘れずに入れます。(このとき台割表があるなら同封しておくといいでしょう)
原稿が折れないように厚紙で補強し、封をしっかりとします。
宛名は
「○○印刷会社 御中」
と書きます。
会社あてに送るときは会社名だけや「宛」ではなく、「御中」と書くのが礼儀です。
封筒の裏にはリターンアドレス(自分の住所)を書き、発送します。

19-オフ本を作ろう(発注書)

印刷所に印刷を頼むときには、必ず発注書を書かなくてはなりません。
印刷所はこの発注書を元に印刷をします。記入ミス、記入漏れのないように書きましょう。

発注書は必ず発注する印刷所のマニュアルを参照して記入してください。
主な記入項目の解説です。

・発注日
原稿を送った日を記入します。印刷所によっては印刷所に到着した日を書くようにしていしているところもあります。

・納品日
納品して欲しい日を記入します。
この時、必ずマニュアルのどこかに本を仕上げるまでの日数が掲載されているので、その発注した日から仕上げるまでの日数を足した分以上の日数を書きましょう。
日数が少ない場合、別途料金を加算されたり、また、何ヶ月もあとに納品を希望する場合は管理費が発生したりするので、仕上げの日数分か、それから数日足したぐらいにしておきましょう。

・納品方法
手渡は印刷所に取りにいく場合です。
宅配便は自宅に送ってくれます。配達時間の希望があるなら備考に書いておきましょう。
搬入はできあがった本を直接イベント会場に送ってもらう方法です。
この場合、搬入するために必要な情報を書くスペースなり、搬入申し込み専用の用紙があったりしますので、それの記載(イベント日、イベント会場、搬入部数、ホール名、スペースNo.参加サークル名等)も忘れずに行い、発注書に同封しておきましょう。
また、300部中、100部だけ搬入し、200部自宅に送ってもらう場合はその旨を備考欄に書いておき、搬入のための送料と自宅への宅配料を合わせた送料を入金しましょう。

・イベント日
刷った本をあなたがイベントで初売りする日です。イベント売りするのでしたら、このイベント日を必ず記載しておきましょう。
自宅で通販のみする場合は記入の必要ありません。

・誌名
本のタイトルを記入しましょう。

・サイズ
本のサイズを記入しましょう。

・頁数(ページ数)
表紙(表1)と裏表紙(表4)、表紙裏(表2)、裏表紙裏(表3)の計4P分もあわせたページ数を記入しましょう。

・部数
刷って欲しい部数を記入します。

・製本
希望の製本方法を記入します。

・とじ方向
マンガ、小説(縦書きの小説)などは主に右とじです。

・表紙用紙
希望の表紙の紙の種類を記入します。
特殊紙の場合はその他に○をして、その特殊紙名を記載しましょう。取り扱っている特殊紙については、印刷所のマニュアルの中にあります。

関美(かんび。関西美術印刷)とは、フルカラーを専門に扱っている印刷所で、フルカラーの表紙やカラーページのみ扱っています。
同人関係の各印刷所と提携しており、関美で表紙を刷ってもらい、印刷所で本文を刷ってもらうことができます。
この時、表紙原稿を関美から直接自宅に送ってもらわない場合は、原画有に○をしましょう。
原画有に○をしていなくて表紙が手元に帰ってこない場合、記入ミスとみなされ、2度と手元に戻ってこない可能性もあります。
関美を使う入稿については別途記載します。

・表紙(紙)色
色上質や特殊紙など、色にバリエーションがある場合はこちらに紙の色を指定します。
指定しない場合で、発注者に連絡がつかない場合、白になる可能性があります。
紙によっては色の呼び方が違うので、特殊紙を使う場合などは色の指定に注意してください。

・表紙刷色
表紙のインクで刷って欲しい色を指定します。
指定しない場合はスミになります。
特色(マニュアルにない色)を使う場合は色見本(雑誌の切れ端)をつけておきましょう。

・本文用紙
本文用紙の紙を指定します。

・本文刷色
本文を印刷する色を指定します。
指定しない場合はスミになります。

箔押、箔色
箔押の指定がある場合には記入しておきましょう。
そのときは箔の色も記入しておきましょう。

加工
PP加工、マットPP加工などがある場合は記入しましょう。

・表2・表3
表2・表3印刷のこと。表紙の裏に印刷するかしないかを記入しておきましょう。

・本文開始頁(本文開始ページ)
本文が始まるページ数を書いておきましょう。

・支払方法
同人印刷は基本は前払いです。
前払いの印刷所は入金の確認がとれないと印刷には取り掛かってもらえません。
入金の際は間違いのないように、おつりのないようにしましょう。

現金:印刷所に直接持ち込む場合などの支払い方法です。
現金を郵送する場合はかならず現金書留を使ってください。
普通郵便などで現金を送ることはできませんので(お札もダメです)。
原稿の中に現金を入れるのもいけません。

現金書留は嫌がられることもあるので、あまり使わない方がいいかもしれません。
為替:為替の場合は原稿にまぎれてしまわないように、小さい封筒にいれるなりして、発注書にクリップで留めておくなどの対策をしておきましょう。
普通為替は1円単位で購入できるので、おつりのないように購入し、期限切れの為替を送らないようにしましょう。
通販などで届いた為替を換金しないでそのまま使いまわしてはいけません。トラブルの元になります。
銀行振替
この方法が早くて確実です。
郵便振替:入金確認まで1週間ぐらいかかります。入金の確認できるまで印刷にはとりかかってもらえず、場合によっては納期が延びることがあるので、控えのコピーなどを送っておくと、すぐにとりかかってもらえます。
通信欄に本のタイトル、サークル名、部数、頁数などを書いておくと印刷所での手続きがスムーズになりやすいです。

・印刷代金送金日
印刷代金の送金日を記入します。

・発注者名
発注者の本名を記入します。フリガナもふっておきましょう。
合同誌の場合は代表者の氏名です。

・住所
発注者の住所を記入します。フリガナもふっておきましょう。電話番号も連絡がつく番号を記入します。

・発送先
できあがった本を発注者の住所と違う住所に送って欲しい場合に記入します。
その際、受取人の名前や電話番号も書いておきましょう。

・料金
料金は基本的に自分で記入します。分からない場合は印刷所に問い合わせると、見積もりをしてくれると思います。

基本料金:マニュアルを参照して、料金一覧表から費用を探して記入します。今回はA5、20P、50部の欄にあった金額を記入しました。
表紙紙代:特殊紙などを使う場合はここに加算料金を記入します。(1枚30円の特殊紙を使う場合、30円×50部で1,500円と書きます)
色替料金:表紙を色インクで刷る場合はマニュアルを参照して、色替料金の合計を記入します。
多色刷料金:多色刷をする場合、マニュアルを参照して、多色刷料金の合計を記入します。
箔押料金:箔押をする場合、マニュアルを参照して、箔押料金の合計を記入します。
加工料金:加工をする場合、マニュアルを参照して、加工料金の合計を記入します。
本文紙替料金:本文の紙の色を変えたい場合は、、本文紙替料金の合計を記入します。
本文色替料金:本文色替とは本文を色インクで刷ることです。本文色替する場合はマニュアルを参照して、本文色替料金の合計を記入します。
空白欄:ここはオプションでつける料金を書く欄です。(あそび紙代や見返し代等)
送料:マニュアルを参照して、印刷会社から自宅までの送料を記入します。
消費税:送料をのぞく合計分の消費税額を記入します。
合計:上記の合計を記入します。

これは一例なので、印刷所によってはこれ以外に記入項目があったり、これより少ない場合があります。
くどいようですが、必ず自分の頼みたい印刷所の発注書を使い、その印刷所のマニュアルの指示にしたがって記入して下さい。

18-オフ本を作ろう(ノンブル)

本文原稿が仕上がったらノンブル(ページ数)を入れていかなくてはなりません。
入れ方はコピー本とさほどかわりません。

ノンブルの配置方法:外寄りのノンブルと内寄りのノンブル

オフ本でノンブルを入れる際に注意しておくのは、あまりタチキリ線やノド近くにノンブルを入れないことです。
また、小さいノンブルの場合はテープで補強するなどして剥がれ落ちないようにしておきましょう。

印刷にノンブルが出てない場合の落丁(ページが抜け落ちること)乱丁(ページが入れ替わっていること)はクレームが効かないことがあります。

時々ノンブルが印刷に出るのを嫌ってノンブルを入れない人もいますが、その場合、原稿を受け付けてもらえなかったり、落丁乱丁が起きても発注者の責任になることがあります。

さて、オフ本のノンブルは表紙を1Pと数えるのが通例です。
ですから、本文は3Pからはじまることになるので、3Pからノンブルをふっていくことになります。

本文を3Pではなく、1Pからはじめることもできますが、落丁乱丁などのトラブルを防ぐために、その旨を一言印刷所に伝えておくといいでしょう。

ページ 内容 補足
1P(表1) 表紙「きのこマンガ」 色上質 特厚 銀鼠(別刷り)
2P(表2) 内表紙(印刷なし)
3P 内表紙 上質紙70Kg
4P 目次・まえがき
5P マンガ
6P
7P
8P
9P
10P
11P
12P
13P
14P
15P
16P
17P あとがき
18P 奥付
19P(表3) 裏表紙裏(印刷なし) 色上質 特厚 銀鼠(別刷り)
20P(表4) 裏表紙

台割にあるページ数を元に振っていくといいと思います。

17-オフ本を作ろう(製本)

製本方法は主に5種類あります。
・無線とじ
・アジロとじ
・中とじ
・平とじ
・上製本
です。
無線とじは市販のコミックスなどの製本方法と同じで、背を糊(製本用の糊)でくっつける方法です。一番よく使われているのではないかと思います。
アジロとじは背の部分にスリット、もしくはスロット形状の切り目を入れ、糊でくっつける方法です。切り目に糊が入るので、無線とじよりも接着強度が強いです。
中とじはコピー本などでもよく使われている方法です。ヤングジャンプなどの雑誌はこの方法です。この方法はあまりたくさんのページ数を製本するには向いていないので、印刷所によってはページ数の上限を設けられている場合もあります。
平とじは本ののど近くをホッチキスなどの針金でとじる製本方法です。
週刊誌、月刊誌などの雑誌でこの方法が採用されていることがあります。(雑誌を限界まで広げると、ホッチキスのようなものでとじられているのが分かります)
この方法は本が中まで開けない欠点があり、のど付近まで書くと、読めないといった状況になることがあります。
上製本はハードカバーと同じように製本されたものです。
1冊あたりの単価が高くなります。
なお、上製本は日数がかかる場合が多いので、締め切りが早くなる場合があります。
他にも糸とじや和とじといった方法があります。
和とじはコピー本を作るときに、個性のある本としていいかもしれません。

16-オフ本を作ろう(表紙加工)

フルカラーの表紙にはオプションとして、よくPP加工、マットPP加工が出てきます。
これは印刷が済んだ表紙やカバーなどにフィルムを貼って、光沢を出したりする加工のことです。
PP加工はツヤがあり、マットPP加工はツヤがありません。
本屋さんで売られているコミックスのカバーにはこのPP加工が施されています。(ジャンプなどの単行本の表紙などがそうです)
まれに大判の単行本でマットPP加工が施された単行本などが見かけられます。(光沢のないカンジでしたら、マットPP加工が施されています)
主に使われるのはカラー表紙に対してです。
モノクロや1色、多色刷りの表紙でも印刷所によってはOKなところもあるかもしれません。
その際には表紙の紙はデコボコしていないものを使用しましょう。
PP加工、マットPP加工は無理にしなくても構わないのですが、見栄えが良く、本の持ちもよくなるので、カラーで表紙を印刷されている方は、加工をされている本が結構多いように思います。
モノクロや1色、多色刷りのなどの表紙で加工されているのは私の知る範囲では見たことがありません。
また、PP加工など以外でも、ホログラムが浮き上がるタイプの加工などもあるようです。
PP加工は追加料金でお願いすることが多いので、お財布と相談して決めましょう。

15-オフ本を作ろう(表紙全般)

表紙は箔押すると豪華な本に見えます。
箔押は箱のお菓子などによく使われているキラキラの文字などが身近で見受けられます。
箔を金属型を使って紙にプレスされたものを指します。

カラー原稿の上にトレーシングペーパーをかけ、センターをとります。
そこに、箔押してほしい位置にインクやペンなどを使って墨一色で箔押して欲しい絵柄等を描きます。

文字を箔押しして欲しい場合は文字を貼りこみます。
写植した文字を箔押した場合は、写植文字のところに箔押指定をしておくといいでしょう。

なお、箔押は箔押してもらう面積が大きいほど高くなりますので、注意が必要です。

箔の種類には主に
金・銀・黒・赤・青・緑・ピンク・スカイブルー・レインボー・ホログラムなどがあります。
また、メタリックなものと、ツヤを消した箔などもあります。

14-オフ本を作ろう(表紙全般)

アナログ表紙の場合、タイトルなどの文字はインレタを使って直接原稿に貼りこむか、写植指定を使うと綺麗に仕上がります。

カラー原稿の上にトレーシングペーパーをかけ、センターをとります。

そこに、写植してほしい位置に枠を取り、センターからの距離、文字のサイズ(縦横の枠の大きさ)を書きます。
そして、写植してほしい文字を枠内に書き、枠外にフォントの指定をしておきます。
(フォントは印刷所によって写植可能なフォントが異なってきますので、マニュアルなどを参照してください。)

色の指定がある場合は色指定もしておくこともできます。
指定する際には鉛筆でも黒ペンでも何でもかまいません。

この写植指定はモノクロ、1色刷り~3色刷りの表紙でも指定可能です。
写植してほしい原稿の上にトレーシングペーパーをかけて指定しましょう。(ただし色指定はフルカラーのみです)

13-オフ本を作ろう(カラー表紙4)

アナログカラー表紙の場合、タイトルなどの文字は色指定を使うと綺麗に仕上がります。

アナログ漫画原稿 写植の指定方法

カラー原稿の上に厚手のトレーシングペーパーをかけ、トンボをとります。
そこに、焼きこんでほしい文字などを墨一色(黒のマジックやインクなど)で描くか、貼りこみをします。

厚手のトレペの上にさらにトレペをかけ、色指定をします。
色指定は赤色や青色などと抽象的な指定をしないで、カラーチャートを使って指定するか、もしくは色見本(雑誌等の切り抜き)をつけておきます。

 

12-オフ本を作ろう(カラー表紙3)

カラーには主に4色分解と5色分解があります。

4色分解というのは、C-シアンM-マゼンタY-イエローK-黒を使ってカラー印刷したものです。
WEB上では正確な色の違いを伝えることはできませんが、普通のカラーはこの4色分解で印刷されます。
肌色はどうしてもくすんで見えます。(アナログ原稿だと特に顕著な気がします。デジタルカラーは塗りムラがないので、さほど気にはならないように思います。)

5色分解というのはC-シアンM-マゼンタY-イエローK-黒に、KP-蛍光ピンクを加えて印刷したものをいいます。
蛍光ピンクの加えられた5色印刷は肌色が明るく見え、綺麗に見えます。茶色やピンク等も綺麗に印刷されます。
この蛍光ピンクを加えた5色印刷は色が鮮やかで、イベントや本屋で目をひきます。

4色分解でM-マゼンタのかわりに、KP-蛍光ピンクを使ったC-シアンY-イエローKP-蛍光ピンクK-黒のKP(蛍光ピンク)差し替え4色分解というフルカラー印刷方法があります。
この方法だと肌色は綺麗に再現されますが、赤色は再現されず、蛍光オレンジになります。(オレンジも蛍光がかった色になります。)

経済的で色が綺麗なのが、M-マゼンタKP-蛍光ピンクを半分ずつ混ぜたインクとC-シアンY-イエローK-黒で印刷する4色分解の方法があります。
これだと肌色もほんのり明るく、赤色もほどよく再現されます。
5色分解はかなり割高なので、お財布に余裕がない人は自分の原稿の着色状態を見て、KP差し替えの4色分解か、マゼンタとKPを混ぜたインクの4色分解のフルカラー印刷にするかを決めるといいと思います。
ただ、このマゼンタとKPを混ぜたインクで印刷する4色分解は一部の印刷所しか扱っていません。
(フルカラー専門の関西美術印刷さんなどが取り扱っています)